映画『浜の記憶』を記録する

映画『浜の記憶』がどのように企画・製作・公開されたかを、監督の大嶋拓が綴ります。うたかたの記憶を、とこしえに記録するために…

カテゴリ: 企画開発

個人ブログに、最近のひどい暑さを嘆く文章をアップ。題して「人が死ぬ暑さ」。


ちょっとどうにかして欲しいんですけどホント。

連日、熱中症による死亡事故が報道されています。

この暑さ、まさに人殺しです。どうしてこういうことになるのか。天気予報では、太平洋高気圧は今月いっぱい居座るみたいなことを平然と言ってますけど、もうすべてが異常な夏。

この夏のうちに、あるプロジェクトを前に進めたいのに、基本、海での撮影なんですよ、これが(泣)。

この間も、あるお祭りを撮影したんですが、焼けつく陽射しの下、滝のような汗が流れて止まらず、そのうち息も苦しくなってきて、マジで死ぬかと思いました。

命を賭してプロジェクトに邁進するのか、少し暑さが収まるまで様子を見るのか。

実に実に悩ましいところです。

「タクラマブログ:人が死ぬ暑さ」より


実際、このひどい暑さの中で撮影するのは、特に90過ぎの加藤さんにはヘビーすぎる。キャストが全員決まったとしても、暑さがひと段落するまで、撮影は延期した方がいいのかも知れない。

20180720

ジャック&ベティの梶原支配人から、
「渡辺梓さんと電話でお話できました。企画概要や撮影時期等を、一度メールでお送りください」
との返事が来たので、早速渡辺さんにメールを打ち、企画書とともに送る。

午後は新宿に出て、ヨドバシカメラでヒロイン・由希が使う一眼レフカメラのストラップを物色。カメラはニコンのブラックボディなので、それに合わせて、ロゴなど一切入っていない渋めのものを選ぶ。
ちなみにこの年代物のフィルムカメラは、加藤さんの後輩にあたる鎌倉アカデミア演劇科2期生・木口和夫さん(2007年病没)の遺品。数年前にご遺族からいただいたものだ。最近はもっぱらデジタルカメラで、実際に使うことはなかったのだが、まさかこんな形でふたたび陽の目を見ることになろうとは。

20180718

夏風邪を引いてしまい、体調は今いちだったが、うす曇りということもあり、長谷の石上神社(御霊神社の分社)のお祭り(御供流し)の模様を撮りに行く。
そうしたら13時の祭り開始とともに太陽が出てきて大変な暑さになり、ヘロヘロ状態でカメラを回す。

20180716

昨年の秋、『鎌倉アカデミア 青の時代』の公開でお世話になった横浜の映画館・シネマ ジャック&ベティの梶原俊幸支配人に電話。
「渡辺梓さんに出演交渉をしたいので、間に入っていただけませんか」
とお願いする。少し前まで、渡辺梓さんがご主人の稲吉稔さんと主宰する「似て非works」の本拠地はジャック&ベティのすぐ近くにあり、懇意にされていたというのを人づてに聞いていたのだ。まずは作品の概要を知りたいとのことだったので、メールで企画書を送る。

J&B

加藤さん演じる繁田のひとり娘・智子役(40代後半)をどうするか、あれこれ思案する。

加藤さんは大ベテランではあるが、東宝専属時代はいわゆる大部屋俳優でその後も脇役専門、一部の映画通以外にはなじみが薄い。そして、相手役の由希も、新人の登用を予定しているので、このままだと、まったくネームバリューのないキャスティングになってしまう。まあ今回はそれでもいいのかも知れないが、やはり、正式な公開を視野に入れるなら、1人くらいは名前の通った俳優を起用するべきではないのか。そうなると智子役には、無名ではなく、それなりにキャリアのある演者を選ぶことが不可欠になるのだが…。

プロデューサー的な発想でそんなことを考えつつネットサーフィンをするうち、渡辺梓さんの名前を発見。渡辺さんといえば、私より6歳年下だが、1989年(平成元年)にNHK連続テレビ小説「和っこの金メダル」のヒロインとしてデビューしたころから気になっていた女優さんで、2000年代に入ってから「魔法戦隊マジレンジャー」で5兄弟戦士の母親役(マジマザー)を演じたのも記憶に新しいところ。所属事務所は、舞台関係は無名塾だが、映像に関しては現在フリー。これはつまり、仕事はすべてご本人が選んでいることを意味する。心意気で交渉してみる余地はあるのではないか。

majimother
強く美しく凛々しいマジマザー(C)東映/テレビ朝日

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